遺産分割協議

遺産分割協議の進め方

 相続が開始すると、被相続人の財産は相続人に承継されますが、 その財産はいったんは相続人の共有財産となります。
 遺言があれば、その指定する分割方法に従い、遺言が無い場合は、相続人全員の協議による「協議分割」で行うことになります。

 遺産分割協議は相続人全員の参加が原則です。
 したがって一部の相続人が不参加の遺産分割協議は無効になります。遺産分割協議は、相続人が全員参加し、全員同意しなければ成立しないのです。ただし、全員が一堂に会して協議するほか、相続人の代表者が作成した原案を持ち回りにして同意を得たり、遠隔地の相続人と書面を通じて協議してもかまいません。
 少し複雑なケースだと「包括受遺者」があります。遺言で相続分の指定をするには、「土地・家は妻に」と具体的に指定するやり方と、「財産の3分の1を○○に贈る」と割合だけを指定するやり方の2つがあります。後者のように、相続分を比率で指定する方法を「包括遺贈」といい、包括遺贈された人を「包括受遺者」といいます。この人は、具体的に何を相続するかを決めなければなりませんので、包括受遺者も分割協議に参加することになります。
 家族会議で分割協議をするという人が大多数なのですが、遺言内容や個別の事情によっては、家族以外の人を含めて遺産分割協議をする必要もあるのです。

次に、最近よくある法的な判断を必要とするケースについてお伝えしたいと思います。

<相続人が未成年である場合>
相続人に未成年者がいる場合、未成年者は遺産分割協議が出来ませんので、下記の2つの方法から選択しなくてはいけません。
1)未成年者が成年に達するまで待ってから遺産分割協議をする
2)未成年者の代理人が遺産分割協議をする
通常、未成年者の代理人は親なのですが、親子揃って相続人となるケースが多くあります。
このような場合、親と子供の利益が相反することになり、親が子供の代理人として分割協議をする事が出来ません。
また、子供だけが相続人である場合であっても、数人の子供を一人の親が代理することもできません。
このようなときには、未成年者一人ひとりのために特別代理人を選任します。
特別代理人は家庭裁判所に選任を申し立てます。
実際の手続は、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し出るときに、遺産分割協議書(案)の添付が必要になります。

<相続人に行方不明者がいる時>
相続人の中に行方不明者がいる場合には、2つの方法が考えられます。
1)失踪宣告されるのを待って、遺産分割協議をする
2)不在者のための財産管理人を選任して、その財産管理人を交えて、遺産分割協議をする
この2つのどちらかの方法を取ることになります。

<相続人の中に意思能力がなく(認知症等)協議できない者がいる場合>
一時的にも意識が回復すれば遺産分割協議は可能です。
一時的にも意識が回復することがない場合には、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立て、その成年後見人を交えて遺産分割協議をすることになります。

 
遺産分割協議の注意点

<形見分けは自由に分割できる>
 形見分けとは、故人の愛用の衣類や時計等、身の回りの物を分けることです。これらの物は通常、換価価値はありませんので、相続人間、遺族間で自由に分けることができます。
 ただし、衣類や時計などの遺品でも、高価な着物、価値が高い物などは、遺産分割協議の対象になります。

<相続人の1人が分割前に推定相続分を処分した場合は・・・>
 相続人は、遺産分割の協議中であっても、自分が相続するであろう相続分(推定相続分)を他人に譲渡することができます。
 この場合、譲り受けた他人(第三者)が取得するのは、譲渡した相続人の相続分に限られることになります。したがって、例えば遺産が土地であった場合には、他の相続人と第三者の共有になりますので、遺産分割協議にはその第三者を必ず参加させなければなりません(東京高裁昭和28年9月4日判決)。
 なお、他の相続人が、遺産分割協議に第三者を参加させたくない場合は、譲渡があった時から1ヶ月以内に代金及び諸経費などを支払うことで、相続分を買い戻すことができます。これを相続分取戻権といいます(民法905条)。

<相続人の一人が無断で遺産を処分してしまったら・・・>
 相続人の一人が他の相続人に無断で全遺産を第三者に売却してしまった場合、第三者は何も知らずに購入したのであれば、返却する必要はありません。取引の安全を確保するためです。
 この場合、他の相続人は、勝手に処分した相続人に対して、自分たちの相続分を返却するよう、相続回復を請求する調停や審判を家庭裁判所に申し立てることができます(民法884条)。

<話し合いで決着できない場合は裁判所へ>
 遺産分割協議は、話し合いで決着がつけばそれに越したことはありませんが、どうしても話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所に遺産分割の申し立てをすることもできます。
 遺産分割の申し立ては、遺産分割に合意しない相続人が住む地域を管轄する家庭裁判所に、遺産目録や被相続人の戸籍謄本を添えて行います(家事審判規則129条)。
 ただし、遺言で分割方法が指定されている場合や、相続人の中に相続放棄または限定承認を希望する者がいるときには、分割の申し立てはできません。

まず、調停により解決をはかります
 家庭裁判所に遺産分割の申し立てをすると、まず調停を行います(家事審判法18条)。通常、調停は家事審判官1名と、調停委員2名以上の合議制で進められ、当事者間の話し合いによる解決をはかります。
 調停で合意すれば、その内容は調停調書に記載されます。この調停調書は裁判の確定判決と同じ効力をもつことになります。

調停でも駄目なら審判になります
 調停で意見が一致しないときには、審判に移行します。家庭裁判所は必要に応じて職権で遺産の種類などを調べ、相続人の権利、年齢、職業、心身の状態など一切の事情を考慮したうえで、法定相続に従って強制的に財産を分割します(民法906条)。

<遺産分割のやり直しはできるのか>
 遺産分割協議が成立した後に、もう一度遺産分割協議をやり直すことが原則としてできません。
 ただし、無効、取り消しの原因となる正当な理由があれば、一部または全面的にやり直すことができます。
 やり直しが認められる場合として
①遺産分割時に相続人の意思表示に詐欺・錯誤・強迫などがあった場合
(例 相続人が他の相続人に騙されていた)
②分割後に、分割時の前提条件が変更された
(例 あらたに遺産が発見された、新しい相続人が現れた)
 

 
遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書には決まった書式はありませんが、いくつか注意点があります。

1.かならず法定相続人全員で協議しなければなりません。
戸籍調査の上、間違いの無いように注意してください。

2.遺産分割協議書に署名をする
法定相続人全員が、署名・実印の押印をする事についてですが、厳密には署名ではなく記名でもかまいませんが、後々の紛争・トラブルを防ぐためにも署名するようにしたほうがよいでしょう。
印鑑は実印を使わないと、不動産登記や銀行手続が出来ませんので、実印で押印してください。

3.財産の表示方法に注意
不動産の場合、住所ではなく登記簿どおりの表記にしてください。銀行等は、支店名・口座番号まで書いてください。

4.割り印が必要
遺産分割協議書が用紙数枚にわたる場合、法定相続人全員の実印で契印(割り印)してください。

5.印鑑証明書の添付
遺産分割協議書には、実印の押印が必要ですが、それと共に印鑑証明書も添付してください。

以上が、遺産分割協議書を書く上での基本的なポイントとなります。

 
遺産分割の調停と審判

話し合いがまとまらないときは、調停・審判
  
 遺産分割は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって決めるのが原則です。しかし、遺産が多額に及ぶ場合もあり、容易に話し合いがまとまらないことも予測されます。
 話し合いによる解決ができない場合には、裁判所における手続きに持ち込まれることになります。これを扱うのは家庭裁判所です。
 ここではまず調停という手続きがとられます。これを家事調停といい、家庭に関する事件などについて、裁判所が間に入って話し合いで解決を図るものです。ここで話がまとまれば、その比率で相続することになります。
 上記のような調停手続きにおいても話がまとまらないときには、次に審判手続きが開始します。これを家事審判といいます。家庭裁判所でおこなう一種の裁判と考えてよいでしょう。ただ、通常の裁判とは様式が少し異なり、問題の相続財産について審判官が職権で様々な調査をしたうえで、最終的な決定を下すことになります。
 もしこれに対して不満がある場合は、審判書を受け取ってから2週間以内であれば、高等裁判所に不服申立てをすることができます。この申立てがなければ、審判は通常の裁判の確定判決と同様の効力を生じます。

 

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