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目次
遺産相続における相続登記(不動産の名義変更、所有権移転登記)の手続きに関するご相談が増えています。
不動産(土地、家屋、マンションなど)の所有者がお亡くなりになると、その不動産の所有権は相続人に引き継がれることになります。
不動産の所有者は、法務局で管理する登記簿によって公示されていますので、相続によって新たに所有者となった相続人は、その不動産の登記名義を変更する手続き(相続登記)をする必要がでてきます。
この相続登記は、手続きの期限がないために後回しにされるケースが見受けられますが、早めに名義変更をおこなわないと、将来相続人の間で揉めごとが起きたり、手続きが複雑になって費用も余計にかかるといった事態にもなりかねません。
相続登記は、ある程度の知識と平日の時間が確保できる方であれば、個人でも手続きすることは不可能ではありません。しかし、必要な書類の収集から申請書の作成まで相当な時間と労力を要するため、司法書士に委任して登記を完了させるのが一般的です。
富樫司法書士合同事務所では、これまで相続の専門家として、さまざまなケースの相続登記を取扱ってまいりました。ここでは、相続登記が初めてという方のために手続きのポイント、手続きしないことでおこる問題点やリスクなどについて解説します。
相続登記とは、不動産(土地、家屋、マンションなど)を相続した際におこなう名義変更手続きのことです。一般的には「不動産の名義変更」と言われることも多いですが、もう少し専門的な言い方をすると、「相続を原因とする所有権移転登記」ということになります。
この相続登記の手続きは、法務省の出先機関で登記手続きなどを取扱っている「法務局」という役所で行ないます。法務局は、不動産の所在地によって管轄する区域を分けていますので、例えば、同一地域に不動産が複数ある場合には、その物件を管轄する法務局のみで手続きをすれば足りますが、複数の不動産が別の市区町村にまたがっているような場合には、それぞれの物件を管轄する法務局が違うということもありえます。その場合には、それぞれの法務局ごとに手続きをしなければなりません。
登記の申請は、個人が法務局へ行って直接手続きすることもできますが、法務局はあくまで申請書類を受け付ける役所ですので、書類作成のサポートまで十分に対応してくれないケースがあります。
相続登記の手続きは、正確な申請書類作成と添付書類の収集が必須となりますので、専門家である司法書士にご依頼ください。
相続登記の手続きは、不動産の所有者である被相続人が亡くなった後、いつまでに手続きを終えなくてはならないといった期間の制限がありません。
そのため、被相続人が亡くなった後も、しばらく相続登記をせずに先延ばしにされるとういったケースがあります。
しかし、不動産の名義がいつまでも亡くなった故人のままになっていると、以下のようなトラブルが発生するリスクがでてきます。
このように、相続登記は被相続人の死亡後できるだけ速やかに対応することが求められます。
「不動産を現物として相続するのか」「売却してお金を分けるのか」「相続人を誰にするか」等、検討することは少なくないですが、早めに決めて相続登記することで、こういったリスクを回避することができます。
相続には、大きく分けて3つのパターンがあります。
状況に応じて、それぞれの方法により相続登記の手続きも進めていく流れになります。
「法定相続」とは、民法で定められた法定相続分での相続の方法です。
遺言書が存在しなかった場合には、法定相続分での相続登記が選択されることがあります。
例えば、法定相続人が母親と子供2名の場合には、相続分は母親が1/2、子供がそれぞれ1/4となります。
この法定相続で不動産を相続する場合には、法定相続分と同じ共有持分割合により名義変更をおこなうことになります。
法定相続による相続登記では、遺産分割協議が不要になりますので、登記手続きの手間が少なくなるというメリットはありますが、将来的に不動産の共有に伴うトラブルが発生する恐れもあるということは理解しておかなければなりません。
例えば、不動産が共有名義の場合には、賃貸や売却をするにも他の相続人が同意しなければ手続きを進めることができません。
共有者が、常に自分と同じ考えであれば問題ないのですが、例えば共有者である兄弟が亡くなったような場合、相続によって亡くなった兄弟の配偶者や子供が新たな共有者になってしまうことも考えられます。また、共有者が自分の持分を他人に譲渡してしまうことも考えられなくはありません。
こういった場合には、より自分とは関係性の薄い共有者が加わることによって、不動産の処分等について、さらに意思統一が難しくなります。
「遺産分割協議」とは、法定相続人が2名以上いる場合に、相続人の全員が遺産の配分などについて取り決めを行う話し合いのことを言います。
遺産分割協議は、公平な相続の実現とともに後で相続トラブルが発生しないようにするのが目的です。そのため相続人の全員参加が必須要件で、1人でも不参加の場合には無効になります。
遺産分割協議で決まった内容は、「遺産分割協議書」に記載して、相続人全員が署名・捺印(実印)します。遺産分割協議に基づく相続登記は、この遺産分割協議書を添付して申請することになります。
なお、相続人の中に未成年者がいる場合には、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければならないケースがありますので注意が必要です。また、認知症の方がいる場合には、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらわなくてはなりません。
遺産分割協議では、相続人がお互いに不公平感や不信感を感じることがないようにして調停などの裁判に発展しないようにすることが肝心です。例えば不動産の相続人は1人にする、その代わり預貯金を別な相続人が相続するなど、円満な相続へ向けての話し合いが求められます。
また、遺産分割協議をする際には、相続人が「海外に住んでいる」、「連絡が取れない」などの事情により協議できないなどの問題が発生することもよくあります。こういった問題のあるケースにおいても、できるだけスムーズに遺産分割協議が進むよう司法書士がサポートいたします。
遺言書がある場合には、遺言書の内容に従って相続登記の手続きを進めていくことになります。
遺言書は、被相続人が亡くなる前にした最後の意思表明であり、相続では最も優先されます。
遺言書でよく利用されるものとしては、自分の手書きで作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人と証人2人の立ち会いのもと作成する「公正証書遺言」があります。
「遺言書が見つからない」、「自筆証書遺言の取扱いをどうすればいいか分からない」など、遺言書に関して不明点があれば、専門家である司法書士のアドバイスにそって相続登記手続きを進めましょう。
相続登記の手続きは、相続の方法により進め方はそれぞれ変わりますが一般的には以下のような5つの手順により進めていくことになります。
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相続登記の際にまず確認すべきなのが、被相続人が所有する不動産の情報です。例えば亡くなった父親が単独で所有している不動産だと思っていたものが実は共有名義になっていたり、あるいは別な所有者に変わっていたというケースもあります。また、被相続人が複数の不動産を所有していた場合には、確認を怠ると相続登記に漏れが出てしまうことがありますので十分に注意が必要です。
不動産の確認方法としては、まず登記事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せることです。これは法務局で申請すれば誰でも取得することができます。また、その他に不動産が無いかを確認するには、「権利証」、「登記識別情報通知書」、「固定資産税の課税明細書」、「不動産の売買契約書」、「名寄せ台帳」などの資料を調査してみることです。
また、不動産がマンションの場合には、登記簿は、専有部分(部屋)と土地(敷地)が一体化されたものが1つ存在するのが通常ですが、稀に一体化されずに、専有部分と土地のそれぞれに登記簿が存在する場合もあります。確認漏れがないように注意が必要です。
次に必要な手続きが法定相続人の調査と確定です。相続人は兄弟姉妹だけだと思っていたら、実は父親に「隠し子がいた」というケースはありえない話ではありません。被相続人の調査では戸籍謄本を取り寄せて調べます。(被相続人の出生まで遡る古い戸籍・除籍を調べることによって、「他に子供(養子)がいなかったか・・?」「他に兄弟はいないか・・?」等を確認します。)
法定相続人は、戸籍上の夫と妻にあたる「配偶者相続人」。子、直系尊属、兄弟姉妹の「血族相続人」に別れます。血族相続人には順位があり、子、直系尊属、兄弟姉妹の順になります。
また、一定の事情により本来の相続人に代わって地位や資格が孫などに移る「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」というものがあります。(相続開始前に相続人が死亡、欠格事由、廃除)
このように戸籍謄本等の記録を読み解くことによって相続人の調査と確定をおこないます。
ここまでで、相続すべき不動産とそれを相続する権利を持つ法定相続人が特定できます。次はその不動産を具体的に誰が相続(所有権を取得)するのかを決定します。これを決定するための話し合いを「遺産分割協議」と言います。
遺産分割協議では、相続人の間でいろいろな事情が出てきて協議がまとまるまでに時間がかかるケースも多いですが、「相続登記のやり直しが起きないようにする」、「将来的な相続の揉めごとを防ぐ」という考え方のもとに不動産の相続人を決める必要があります。
不動産を誰がどのように相続するのかが決まったら、次は具体的な相続登記の申請書類の作成と必要な添付書類の収集です。
相続登記の内容により、書類の作成や集めるべき書類は変わりますが、複雑な相続登記の場合には自分で書類作成から申請までおこなうのは大変な労力がかかりますので、司法書士に相談の上、進めていくのが確実な方法です。
相続登記の申請書類を作成し、必要な書類を集めたら、管轄の法務局に登記申請をおこないます。書類に問題がなければ、申請から1~2週間で登記は完了します。
ご自身で申請する場合、申請書類に不備があれば補正、却下されることもあり、その際には何度も法務局に出向かなくてはならなくなります。名義変更が複雑なケースでは、申請書類の作成に専門知識が求められるとともに必要な書類も増えます。これらの相続登記の手続きを個人でおこなうのは骨が折れる作業です。
手続きの「正確性」、「スピード」とともに手間などを考えたら専門家である司法書士に依頼するのが適切と言えます。
相続登記は司法書士の専門分野ですが、司法書士なら誰もが相続問題に詳しい訳ではありません。
相続登記の手続きだけはできても、相続の問題を適切にアドバイスできるのは相続分野を専門に取扱う司法書士のみです。
相続登記では、戸籍の収集が非常に面倒だったという声が聞かれます。相続登記をするには、亡くなった人の「死亡時から出生時まで遡る全ての戸籍」を集めなければなりませんが、出生から死亡まで全てが記載されている戸籍というのは稀で、転籍・分家・養子縁組・婚姻などにより、何回も別の市区町村に本籍を移動しているという場合がほとんどです。
この場合、過去に本籍を置いていた全ての役所で、戸籍を収集する作業が必要となります。また、古い戸籍には旧字・旧かななど、普段あまり目にすることのない文字の記載も多く、手書きのものも多いため、内容を読み取ることは大変な作業です。
当初、ご自身で戸籍を集めていたが、大変な作業であることが分かり、ご依頼をいただく方も少なくありません。当事務所では、面倒な戸籍等証明書の収集など相続登記の申請に必要となる諸手続を総合的にお手伝いさせていただきます。
相続開始後には、相続人の間で相続財産をどのように分配するかを話し合う遺産分割協議をおこないますが、その協議で決定したことを証明する遺産分割協議書を作成する必要があります。
この遺産分割協議書には、相続する「土地」、「建物」に関する情報(登記簿謄本に記載されている内容)を遺産分割協議書に正確に記載する必要があります。また、ケースによって特別に書き込まなければならない文言も多くあります。
相続関係説明図(親族図)とは、法定相続人が誰なのかを図式化して分かりやすく記述した書類です。相続登記の際に相続関係説明図を提出することで、登記完了後に戸籍を返却してもらうことができます。
戸籍の原本は銀行預金、株式口座、自動車などの名義変更の手続きにも必要です。当事務所では、この相続関係説明図も作成いたします。
相続登記申請時に必要な書類は、相続のパターンにより異なってきますが、司法書士がお客様に必要な書類を個別に判断し、相続登記申請書などの書類を一式すべて作成します。
相続登記の手続きは相続不動産がある管轄の法務局で登記申請をおこないます。法務局は申請を受理すると申請書類を確認し、不備があれば申請人に訂正・追完を求めます。したがって申請書類に不備があれば、何度も法務局へ足を運ばねばならない事態も考えられます。
この法務局での手続きが「よく分からない…」「面倒だ…」、「時間を取られて困る…」ということで司法書士にご相談される方も少なくありません。相続登記手続きは専門家である司法書士にご相談いただければ迅速かつ正確に処理を進めます。